前津江村「風力発電の村づくり」 前津江村役場

地域で紹介したい自然・歴史・文化・工業・産業など
・筑後川源流・前津江の自然と風土
・風力発電
紹介・解説できる人・団体(ボランティア学芸員)
利用・交流できる施設
・椿ヶ花ハイランドパーク TEL.0973-53-2358
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 筑後川に流れ込む清流赤石川と全国屈指のシオジ原生林が残る「水源の村」前津江。村内の椿ヶ鼻ハイランドパークには2機のドイツ製風力発電機(1機出力245KW)が設置されパーク内全施設の電力をまかなっている。将来的には村内全ての電力を風車でまかなう構想があり、今年「全国風サミット」が開催された。流域の自治体による、地域でのクリーンエネルギー対策の先駆として注目されている。
 『定住人口2千人、交流人口20万人』という政策目標を掲げ、希望と活気に満ちた豊かな郷土“前津江村づくり”を目指し、長期的な展望に立ち、諸施策に取り組んでいるところでございます。そういう中での私が持つ地域のイメージは『自然との共生によって造られる安らぎのある天然の緑の村』でございます。皆様既にご承知のとおり、地球の環境は20世紀に入り、化石燃料への依存度が大きくなって二酸化炭素等の増加で温暖化や砂漠化と急激な悪化を辿っております。このことは地球規模で取り組むべき大きな問題であると考え、小さな村ではございますが、平成7年度において九州通商産業局のご援助をいただき、「まえつえ新エネルギービジョン」を策定して、風力、太陽光、水力の3つの自然エネルギーを軸とし、これらのエネルギーを利用した形の地域振興計画をまとめたところでございます。
 この椿ヶ鼻ハイランドパーク一帯は極めて風が強く、本村の基幹産業である杉や桧等の用材の育成を妨げるほどであり、この悪風とも言える強風を逆手にとって村おこしに利用しようと“風”をキーワードにした『ウィンドパーク構想』を策定しました。この構想は、「強風を地球に優しい自然エネルギーとして活用し、環境保全へのステップにすること」「風を地球の資源として風にこだわった村のランドマークを創造すること」「自然エネルギーの利用により環境保全等情報を発信し、I・Uターンなど定住化への足掛かりとすること」「村おこしのため、地域住民の心に“新しい風”を吹かせること」の4つの事項が基本的なコンセプトとなっており、地球に優しい自然エネルギーを環境問題と村おこしの両面からの事業を行うものでございます。
 この事業の実施に当たり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のご支援で平成8年10月からフィールドテスト事業の中の風況精査を実施していただき、年間平均風速5.9メートルという好条件のデータを得ることができました。また、本事業の推進に当たっては、国土庁並びに大分県企画部過疎・地域振興局のご理解で戦略的かつ重点的プロジェクト事業に取り上げていただき、その財源を確保していただきました。そして、九州電力株式会社におかれましては椿ヶ鼻ハイランドパーク内の配電全施設等を譲渡していただき、風力で発電した電力の供給が容易にできるようになりましたし、また、余剰電力につきましても購入していただけることになっております。
 この巨大な風車を村のシンボル(名物)として交流人口の増加を図り、そして、環境の世紀と言われる21世紀を担う子どもたちに風力発電を通して『自然との共生』の大切さを体験できる学習の場とし、一連の研究開発に役立てていきたいと考えているところでもございます。
                             旧 前津江村村長  原田 実(2000年)


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