江戸期、広大な筑後平野を流れる中流域に築かれた「筑後川四堰」こそが、この豊かな平野を育てた水利用の主役であった。この四堰には飢餓と難工事と一揆のくりかえしがあり、水をめぐっての農民たちの汗と血の歴史があった。筑後川から引かれた水は、水田地帯を潤した後、ことごとくまた本川に戻されていた。四堰は筑後川の流れを更に豊かに作り出すための堰でもあった。


●江戸期、筑後平野を育て潤した筑後川四堰と支流、用水の多様な水利技術。当時の姿を今も残す山田堰や朝倉の水車群、大石長野水道や巨勢川等に現存する数多くの水利技術は、筑後川流域で営々と続いてきた“水と人のかかわり”を私たちに物語ってくれる。
●筑後川中流域の緑豊かな河川敷は、多くの人々と川との交流スペース。各所に点在する古墳、遺跡や歴史的街並と伝統行事、河童伝説や水くり清兵衛の民話等は、古くから川と人々の様々な関係を今に伝えている。
●耳納連山から筑後川左岸への雄大な山麓は、数々の歴史文化遺産が散在する山里の風土を残し「山苞の道」として多くの人々に親しまれている。支流域には、ホタルが舞う宝珠山川、焼き物の里のある小石原川、「小京都、秋月」を流れる野鳥川等豊かな文化と山里の景観がある。

中流域の水利用技術・水の文化
 /坂本紘二
中流域の歴史遺産・風土と河童
伝説

「山苞の会」
「あまぎ木こりの会」

●絶滅に瀕した淡水魚ヒナモロコの生息できる農村環境再生をめざした「耳納塾」の取り組み。その活動は多くの住民と行政を巻き込んだ地域ぐるみの取り組みとなり、農政全体の「公益機能/環境保全型農業」への転換にも少なからぬ影響を与えることとなった。
●農村の営々とした努力を物語る新川つづら地区を中心とする棚田。山肌に石垣で幾重にも続く棚田保全の為の様々な交流制度やユニークなイベントは、浮羽グリーンツーリズムの大きな柱である。地域の景観、風土を住民参加で保全し育てる浮羽型グリーンツーリズムが町ぐるみで進められている。
●今、中流域を拠点とする様々な団体による筑後川全体の交流連携、調査研究、再生への活動が展開されている。初のNPO法人「筑後川流域連携倶楽部」による「水の森」植林、流域まるごと博物館、水連再生の試み、20年以上にわたって流域の諸問題を調査、提言してきた「筑後川水問題研究会」流域の歴史文化自然を調査、研究し資料化をめざす「筑後川歴史文化研究センター」等が各々の分野で活躍している。
「耳納塾」 「浮羽型グリーンツーリズム」
「筑後川流域連携倶楽部」
「筑後川水問題研究会」

トップページ流域グループ一覧上流域中流域下流域  流域イラストマップ